第112章 植物館に秋の風
暫く花を眺めた私達は次いで"奇跡の星の植物館"へやって来た
日本最大の吹き抜けの植物館、コンセプトは環境に合った植物を展示する、だそうで開放的な雰囲気が漂っている
入り口を入ると【プランツギャラリー】という展示室へ出た
主にサボテン等の多肉植物が点在しておりなんともシンプルな空間だった
彼はサボテンに興味津々な様でトゲをガン見している
彼があまりにも動かない為に先に展示室内を見て周りスタート地点に戻ると彼は先程の立ち位置から数メートルしか進んでいなかった
本当に彼の思考は摩訶不思議である
今にも触れてしまいそうな程近距離で見入り大きな瞳を輝かせていた
「イルミさん」
「んー」
私の呼び掛けにも生返事を返す彼
独断急いでいる訳でも無いし無理に引っ張って行く必要も無いので適当にベンチで待つことにして久しく開いていなかったアプリゲームを開く
どれくらい熱中していたのか、光を遮る様に影が立ち止まったので見上げると彼が立っていた
「何してるの?」
「………ゲームです」
スマホ画面を見せれば
「あぁ、生首を繋げて消し飛ばすゲームね」
「こっわ………ツム◯ムですよ……」
「何でも良いけど、行こう」
人を待たせておいてすんなり背中を向けて歩き出す彼は驚愕のマイペースだ