第12章 摘み取るなら早い内
こんな平均以下しか体力も身体能力も無い私なんてイルミさんは呼吸をするよりも容易く殺してしまえるだろう
だけど彼は必要以上に近寄らず適度な距離を保ってくれるし生活する上で気遣いもしてくれる
荷物を持ってくれたり生活面で私のやり方を拒まず受け入れてくれる辺り寧ろ紳士的でもある
広さの都合から二つ並べた布団で寝ていても色っぽい雰囲気にも成らないし、筋トレを見たのは私が騒いだ一度きりで肌を極力見せない等気遣いをしてくれている
「うーん………怖くない理由……イルミさんやからですかね」
「俺だから?」
「はい、イルミさんて優しいし気遣いしてくれて紳士的で素敵………て言うのは関係無い……事も無いけど」
(口滑った…………!!!!素敵とか言うてしまった恥ずかしっ!)
焦りからしどろもどろになる私にイルミさんはため息を付き
「やっぱり変わってる」
と言った
私は誤魔化す様に乾いた笑いを残して先にお風呂に入ると伝えて逃げた
お風呂から上がるとイルミさんの話し声が聞こえる
(……………ん?イルミさんって私の番号しか知らんよな…?)