第111章 車内で恋話
10月7日
私達は昨日ダラダラと過ごした後に淡路島へ来ていた
所謂夜からの出発で車中泊をしたのだ
セレブな生活を長く送っていた坊っちゃんをファミリーカーに寝かせるとは何事だ、と思うかも知れないが以前にもご宿泊に成っているので平気だろう
キラキラ輝く明石海峡大橋には彼の希薄な表情も輝いていて可愛かった
フルフラットの後部座席に二人寝転び布団にくるまるが自宅で眠るより随分距離が近い
エンジンを止めた車内には静寂が訪れる
「………イルミさん寝ましたか?」
「……いや」
「何かワクワクして寝れないです」
「………何かする?」
彼は言いながら寝返りを打ち此方を向いたので顔だけでそちらを見れば何処か妖艶で不適な目付きにドキリと心臓が跳ねた
「………何かって何ですか?」
「………はぁ………。なんだろうね………」
恐る恐る聞いた私に彼は髪をかき上げると溜息と共に淡白な瞳を覗かせた
彼の変わり身の早さに驚かされるが一瞬の些細な出来事にも反応してしまう自身の心臓は不整脈に成りやしないだろうかと思ったりする
「………イルミさんジ◯リ好きですか?」
「……まぁ普通に」
「……次はディ◯ニーにチャレンジしませんか。実はDVD持ってるんですよ」
「………今持って来ては無いんだよね」
「………はい。」
「じゃあチャレンジも何も出来ないじゃん」
「………はい。」
「……ねぇ、沙夜子の初恋っていつ?」
「え!?」
まさか甘酸っぱい恋話が唐突に始まるとは思いもしていなかったので変な声が漏れてしまった