第110章 執事服の想像
「ありがとうございます……イルミさんは優しいですね」
「俺が?……そんな事言うのは沙夜子くらいのものだけど」
「そうなんですか?優しいと思います。いつも私に付き合ってくれるし」
「其の割りには意地悪とも言うじゃん」
「それは……それはイルミさんが悪い時です」
「あっそ。………それよりこれ何」
「チャンジャです。鱈の内臓……?のキムチ?よく知らないですけど」
「…………。」
その後追加注文した焼き鳥を食べたが彼がチャンジャに手を付ける事は無かった
帰路に付く
賑やかな駅前から住宅街に入ればずっと聞こえていた忙しない喧騒はいつの間にか消えて
細い三日月が私達を見下ろしていた
髪を拐う風はひやりと冷たいが乾いた香りが何処か沖縄旅行を思い出させる
「何か今日の風……沖縄の風と似てる………」
口に出す気等無かった言葉がポツリと漏れた
「…………沖縄ね。」
その言葉を彼が拾う
「……水着姿可愛かったよ」
「………!!」
勢い良く彼を見上げた私とは違い彼は視線だけを一瞬寄越しただけだった
彼はあの時一言も私を誉めてはくれなかった
別に気にしていた訳では無いがリアクションが無いのは寂しく感じたのを思い出す
まさか彼がそんな事を思ってくれていたなんて予想だにしていなかった私は嬉しくてドキドキと心臓が早まりスキップしたい気持ちに成った
「ふふふふふっ………」
「その笑い方気持ち悪いよ。」
ハロウィンの日も可愛いと思って貰えるだろうか