第109章 同居人を迎える心構え
「………欠点があるとするならばひとつだけ。………ビジュアルの強さ。」
「そうですね」
「軍曹は徘徊性で巣も作らないんだ。獲物が居なくなると勝手に移動するから居座られる事も無い。今の時期は本来冬眠時期だしゴキブリもそうだろうから部屋に放しておけば勝手に冬籠りするだろうし活動時期は主に6月から8月だから一年を通せばそんなに接触は無いと思うのだけど。」
彼のリサーチにも驚いたが私はタッパーを持ち上げてまじまじと見詰めてみる
やはり存在感溢れる容姿にゾッと鳥肌が立つ
私は大いに悩んだ
「もうちょっと考えて良いですか……?」
「うん」
タッパーの蓋には幾つか穴が空いていて其が彼の開けた空気穴だと気付いた為に急がずとも命に別状は無いだろうと考えた
「…………買ったんですか?」
「捕まえて来た。」
「…………素手で………?」
「うん」
「イルミさんってほんまに虫平気なんですね………」
「平気だね。」
中性的な顔立ちからギャップが凄いがこの大きな蜘蛛を鷲掴みにしたのだろうか………おぞましい………。