第109章 同居人を迎える心構え
そんな会話を交わした私達は決心が付かぬままに食事を済まして再び軍曹に向き合っている
「……で、どうする?」
「……………」
正直ゴキブリと軍曹のビジュアルは等しくインパクトがある
………しかしながら軍曹との生活には大きなメリットが存在していた
この先奴と対峙する事が無くなると考えると随分魅力的に感じる
「………軍曹と住みます………。」
多大なる決断だった。
正直、志望校を決めるより迷った。
「解った。放すよ」
「………はい」
固く握った手に汗をかく
彼は部屋の隅でそっとタッパーを開いた
途端に猛スピードで軍曹がかけ上がったのは何故か私の足だった
「ひぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!!」
身体を震わせ跳ねる私の動きに驚いたのか素早く離れて姿を消した軍曹。私は早速後悔していた
「ちょっと!!!!臆病やから近付かんのじゃ無かったんですかッ!!!」
「パニックだったんだよ多分。沙夜子と同じだね。仲良くなれるよ。………多分」
「…………。」
(………多分って……………)
私と彼と親方の住む部屋に新たな同居人が増えた瞬間だった