第109章 同居人を迎える心構え
私は数秒の間でそんな事を考えテレビ台の方へ思い切り飛び、ゴキジェットを握りしめ素早く振り返った
……………奴が居ない………?!?!
私はちゃぶ台の周りを一周した後に裏側を覗いた
……………居やがった!!!!
奴は姑息にもちゃぶ台を登り裏側に身を隠していた
ウヨウヨと動く触角に鳥肌が立つ
じっとしている所へ腕を出来るだけ伸ばしてゴキジェットを構え思い切り噴射して飛び退く
………仕留めたか…………!?
と目を凝らしているとちゃぶ台から落下した奴はカサカサと此方へ突進して来ていた
「待って!!来んといてッ!!」
叫びながら第2撃目を噴射する
白い煙に紛れた姿を視線だけで探るが見当たらず汗が吹き出す
最悪だ………完全に見失ってしまった…………
私の最も恐れていた事態だった
昔私が座ってテレビを見ていた時の事
太もも辺りに擽ったさを感じてテレビ画面から視線を外さず手を伸ばすとその手に握ったのはゴキブリだったという事があった
当然パニックに成った私は泣き叫び父が退治してくれたのだが其の出来事は私の中で完全にトラウマに成っている
見失ってしまえば奴は自由にこの部屋を動き回りいつ接触してくるか解らないのだ
24時間臨戦体制を続ける緊張感は相当な体力を使う