第109章 同居人を迎える心構え
10月3日
私は今究極の二択を迫られている
事の始まりは遡り9月中旬
私は悲鳴と共に素早くちゃぶ台に飛び乗っていた
人間身の危険を感じると凄まじい身体能力を発揮するらしく
体感では0.05秒くらいのスピードでちゃぶ台に飛んだ気がする
その理由はきっと人類ならば誰しもが好きだ、とは思わない黒光りした生物が出現したからだ
カサカサと動くツルリとしたフォルムが真っ直ぐ此方に迫って来ていた
侵入経路はどうやらベランダの様で網戸の僅かな隙間から侵入したらしい
昨年迄はバルサンを焚き、万全の対策を取っていたが今年は親方の健康を考えて焚かなかった
武器になるゴキジェットはテレビの裏
ちゃぶ台からはどうにも届かない距離だった
室内で見失う等もっての他、気持ち悪いが微塵も視線を外さずとにかく撃退の期を伺っていたのだが敵の姿はちゃぶ台の影に消える
途端にパニックになる
もしかしたらちゃぶ台を登っているのかもしれない……しかし迂闊に飛び降りた場合直ぐ傍に奴がいる可能性だってあるのだ
選択を誤る訳には行かないがこのままちゃぶ台の上に居ても奴を見失う可能性が高く成る