第107章 室内の二人
「えっと……………」
「どうせなら沙夜子と使いたいし沙夜子の口座に入金されるから。来月でもさ、何処か行こうよ」
何時の間に?!と思ったが彼は頭が良いのでサラリと遣って退けたのだろう
ビギナーズラックというやつか……
「………旅行行きましょうか……」
「あー良かった。……何処に行きたい?」
「やっぱり秋ですから……紅葉が綺麗な温泉とかですかね……?」
「温泉ね。解った、調べておくよ」
「え!イルミさんが調べてくれるんですか?!」
「……?うん」
彼は至極当然の様に頷いた
突然素敵な予定が出来て跳ねる胸をそのままに笑顔に成る
「めっちゃ楽しみです!!!ありがとうございます!!!」
「其れは良かった」
彼がチラリと寄越した視線は何処か暖かい物だった
その後私達は大量にアルコールを煽り私は案の定記憶を飛ばし翌朝二日酔いで出勤した
涼しい顔で出て行った彼は今何をしているのだろうか
なんて見上げた空は昨日の雨が嘘の様な見事な秋晴れだった