第107章 室内の二人
「…………あー、やっと終わったぁ……。次何見ます?」
「ハイテンション」
「あー……はい。」
彼が次いで上げた題名はグロいという事は認識しているフランス映画だった
………此方も彼が選んだDVDだ
昔一度見たがとにかくスプラッター物でエグかったイメージしか無い
物語としては仲良しなアレックスとマリーという女子大生が主人公であり、試験勉強のためフランスの田舎町ピュイエンヌのアレックス実家に招かれたマリーだが、その夜ソラル家は惨劇に襲われる。アレックスの家族は惨殺され、アレックスは連れ去られた………と言う所から始まる怒濤の展開
…………なのだが冒頭から中々に気まずい猟奇的な性的シーンが続く
「…………」
「…………」
…………非常に気まずい
テレビから流れる効果音と僅かに聞こえる雨音だけが響く薄暗い室内で私は変な汗をかいた
気まずさに耐え切れず彼を盗み見るが彼は全くの無表情で真っ直ぐ画面を見詰めていた
………正直ホッとする。
この場に居たのがヒソカさんなら変な空気に成っていたんじゃないだろうか……なんて考えて生唾を飲み込んでいると私の視線が刺さったのか彼の瞳に捉えられてしまった
「…………」
「…………」
一瞬にして視線を外した彼
無言のまま場面は移りその後も会話は無くチラリと彼を盗み見る
悲惨な光景が画面一杯に広がる中彼はバリバリと音を経ててスナック菓子を食べていた
「………イルミさん」
「んー?」
「……リアリティーありますか………?」
「無い。例えばこの血管を切ったらもっと出血するし動けやしないよ。逆にさっきの場面ならもっと動ける」
彼は徐に私の足首を掴むと浮き出た血管を的確になぞったが下心は一切感じさせず冷たい指先にゾクリと鳥肌が立つ