第107章 室内の二人
「朝からホラーにしますか?イルミさんが選んだやつ」
「良いよ」
テレビ画面を切り替えて彼の隣に座る
「いただきます」
「いただきます………やっぱりコメディーからにします?」
大きな袋に入ったチョコクロワッサンを二人して貪る
テレビ画面に映し出された予告も全てホラー関連の物で
霊的な物が恐ろしくて仕方がない私は腰が引けてしまう
「往生際が悪い。」
「……………電気付けましょうか。」
「このままで良いよ」
薄暗い室内に浮かび上がるテレビ画面は次々に恐ろしい映像を映し続ける
せめて明るく成れば幾分か恐怖が和らぐと思ったのだが其れをやんわり断られてしまい私はクッションを抱き締めた
クッションが何の役に立つかは解らないが何となく無いよりは良い気がした
彼がTSUTA◯Aにて選んだのは呪怨だった
何故そんな恐ろしい物を……と思ったが輝く瞳に屈した私は渋々とレンタルしたのだ
どうやら彼はホラーが好きらしい
(暗殺者がホラー好きってどうかと思うけど……………)
なんて事は口に出せないままに薄気味悪く展開して行くストーリー
出し惜しみ無くバンバン登場する伽◯子&俊◯コンビに独特の声、私はすっかり震え上がっていた
ホラーと対面する際に何時も思う事だがBGMが怖いのだと思う
BGMが違えば、例えばずっとドラ◯もんのス◯夫が自慢話をしている時の呑気なBGMなんかにしてくれれば雰囲気が大分柔らかな物になるのに………なんて考えていると
突然画面一杯に現れた伽◯子に軽く飛び上がり足をちゃぶ台にぶつける
「~っ!!!!」
「大丈夫?」
「………はい……」
「沙夜子は本当にホラーが苦手なんだね」
「だっていきなり消えたり出たり理不尽に呪ったり怖すぎますよ」
「生きた人間の方が怖いよ。」
「理不尽に呪われるんですよ?!めっちゃ迷惑じゃないですか?!」
「……まぁね。」
「見た目も怖いし………」