第107章 室内の二人
彼はゆるゆると起き上がると洗面所に消える
彼が足音を経てる事は滅多に無く経てるとしたら其れはわざとなのだと最近に成って気付いた
「イルミさんって猫感強いですよね」
後を追う様に起き上がり伸びをしながら漏らすと
「意味が解らない」
歯ブラシを咥えた彼は怪訝な表情を浮かべた
「静かやし、身のこなしとか雰囲気とか。あ!黒豹とかも似てます!絶対猫科やけどトラとかライオンじゃないですもんね」
「………あっそ。」
彼は独断興味無さ気に歯磨きを済ませると寝間着姿のまま座椅子へ腰掛けた
「………?着替えないんですか?」
「……家にいるだけだし必要無いじゃん」
「そうですけど意外です」
「何が?」
「イルミさんってキッチリしてるから何時もしっかり服着替えてるし」
「別に、案外適当だよ。面倒なのは嫌いだし」
本当に意外だった
彼は休日何もせずともキッチリ身支度を整えている記憶しか無かった
そして思ったのは本当にリラックスして気を抜いているという事だった
只の憶測でしか無いが、まだ知らない彼の一面にキュンと高鳴る胸に自然と頬が緩む
遅れて洗面所を出た私は早速昨日借りたDVDを見ようと中身を眺める
「何から見ます?」
「何でも良い」
キッチンにてコーヒーとリンゴジュースを入れて戻った彼は色違いのマグカップを並べてテーブルに置いた
彼のマグカップはグレー私のマグカップは薄いピンク
彼が自ら選んでくれた其れはシンプルなデザインでいて何処か暖かみを感じさせる物だった