第107章 室内の二人
9月24日
目覚めると丁度彼も目覚めたらしくお互いに布団の中で挨拶を交わす
今日は彼の提案により何もせず家から出ないという事に成っている
ザアザアと強い雨音が耳にこだまして今日の天気を知る
見遣ったベランダは晴れた日に比べて数段暗くまだ昼前にも関わらず室内は薄暗く静寂を漂わせていた
「……連休最終日やのに遊びに行ってる人最悪ですよね」
「そうだね。関係無いからどうでも良いけど」
「……私やったらめっちゃテンション下がります」
「家から出ないんだから天気なんてどうでも良いよ。」
「……ですね」
布団から未だ出ずに交わした会話から何処か閉鎖的で異質な空間を思わせた
徹底して他者に無関心な彼の言葉がそう感じさせている事は明らかで
上体を起こした気配にそちらに視線を向けると彼は大層気だるげに艶やかな黒髪をかき上げていた
「まだ寝る?」
「……いえ、起きます」
時たま思う事なのだが
彼は恐ろしい程整った容姿をしている
その上あまり崩れない表情から作り物なのでは無いかと思わせる無機質な印象を抱かせ
そんな彼と会話を交わしている状況が酷く不思議に思える事があるのだ