第104章 振り回し回され
撮影開始から約30分
彼の鋭い瞳に射抜かれてしまえば途端に跳ね上がる心拍数に限界を感じて終了を告げると彼は一瞬にして淡白な雰囲気を纏った
まさに早業で彼は彼自身の色気を理解しているのでは無いかとすら思う
しかし会話から察するに彼の妖艶さは無意識的に発せられており、あくまでも"誘惑しなければならない"という気持ちから発せられていて彼自身コントロールしている意識等更々無いのだろう
手早くボタンを閉めて寝具を片付ける彼をガン見しながらそんな事を思った
「モデルって結構疲れるね。普通の写真なら良いけどもう一生やりたくない」
「………すみません。ありがとうございます」
「約束は約束だからね。で、次のお願いは?」
溜息と共に座椅子に腰掛けた彼の隣に腰を下ろして考える
私の欲望は存分に満たされてしまった
しかし晩酌するにはまだ早くせっかくの機会を無駄にはしたくない
無い頭を捻る
一番に浮かんだのは抱き締めて欲しい……だったが言える筈も無く再び考える
「………あ、手合わせてみたいです」
「手合わせ?死ぬよ?」
「違います、殺さないでください。手の大きさ比べてみたいです!」
「なんだ。解った」
彼は言うなり私の手を取ると手のひらを合わせた
ずっと思っていた事だが彼の手は大きい
私が精一杯広げても彼の指の第二関節迄で差は圧巻だった