第104章 振り回し回され
彼は私がおねだりしなければ動く気は無いらしく私をじっと見下ろしたまま私の言葉を待っている
私は意を決して羞恥から手汗をかいている手で拳を作った
「………えっと………服買って欲しいです………」
「…………。」
【返事が無い、只の屍の様だ】じゃないッ!!!!!何故意を決した台詞を無視して只私を見据えているのか、………いや、私は解釈を誤ったのか………?!?!解らない………彼が理解出来ない………
「ちゃんと目を見て言わないと駄目でしょ?」
「っ………!!」
そんなルールは知らない。最初に教えておいて欲しかった
特段意地悪を感じさせない単調な声色だったのは幸いだが私は益々汗をかいていた
私は直ぐに彼を真っ直ぐ見上げるともう一度口を開く
「ワンピース買って欲しいです」
「良いよ」
彼はそう言うと直ぐにレジにて会計を始めた
「………。」
(………え…………?なに………?今のってほんまに必要…………?)
可愛らしい袋を下げた彼に促されるまで私は釈然としないままただ彼を眺めていた