第104章 振り回し回され
ワンピースを身に付けて鏡に映った自身は普段の自身とはまるで違った雰囲気を醸し出していた
彼が選んだワンピースはネイビーの落ち着いた色味で鎖骨辺りから七分袖丈の部分が透かしレースになっておりスカートは膝丈ながらもぴったりボディーラインの解るデザインで何やらセクシーな気がする
私は普段あまりボディーラインの解る様な洋服を着ない上にスカートもあまり履かないので余計にそう感じるのかもしれない……なんて考えていると
「まだ?」
外から声を掛けられ慌てて試着室の扉を開く
彼が選んだという事と込み上げる気はずかしさにおずおずと彼を見上げれば
彼は細めた瞳で私の全身を眺めていた
「あの………どうでしょうか……」
「うん。思った通り似合ってるよ。」
「っ……ありがとうございます!」
嬉しい言葉を頂いて即購入を決める
元の洋服に身を包み軽い足取りでレジへ向かおうとしていた私だが彼にワンピースを取り上げられて溜息をつかれる
「……?」
今溜息をつく様な出来事があっただろうかと思考を巡らせていると
「さっきも言ったよね?」
彼の言葉によって溜息の理由を理解する
このワンピースをおねだりしろと言う事なのだろうが………どうすれば良いのだろうと戸惑ってしまう