第104章 振り回し回され
こんなにも不安になるのは私の独りよがりな独占欲……私は彼の何者でも無いのに。なんて考えると悲しくなった
平日なんかは仕事が終わっても掛け持ちの居酒屋があり、彼がその間何をしているか知る術も無く
もしかしたら彼は外出しているのかもしれない………その際に声を掛けられていても不思議では無いし、私が其れを嫌だと彼に伝えるには私達の関係性では随分図々しい
「…………何人くらいにされました……?」
「………忘れた」
運ばれて来たコーヒーカップに唇を付けた彼は真っ直ぐに私を見据える
「………何人くらいにされたか教えてください」
「其れを知ってどうするの」
「どうもしません……知りたいだけです」
「多分30人前後」
「………………そう、ですか。」
大きな瞳から視線を反らしミルクティーに刺さったストローをくるくる回す
知った所で何も出来ないし寧ろモヤモヤは大きく成った
しかしどうしても気になって聞かずにはいられなかった
あんなに楽しかったのにどんどん気分が沈んで行く中彼の溜息が聞こえる
彼は私のお願いを聞いてくれて"馬鹿げた事"と言った事に文句も言わず付き合ってくれているのだ