第104章 振り回し回され
そりゃそうだ。次々ポーズを決める完璧なプロポーション、端麗な容姿、背格好すらも全て目立つのだ
そんな彼が公園で可憐にポーズを決めて奇妙な女にちっぽけなデジカメでバシバシ撮影されている異様な光景はさぞ目立つだろう
タラリと流れる汗は気温から来るものでは無く
「イルミさん………移動しましょう」
「……?……うん」
私は公園からの脱出を決意した
彼をじろじろ見られている状況が堪らなく嫌だった
モヤモヤが胸に広がる
私と彼は決して恋人同士では無い。しかしこの世界できっと誰よりも彼を知っているのは私で
狭いアパートで同居する仲なのだ
何より恋い焦がれる想い人でもあり、彼が誰かに格好いいと言われたり熱視線を送られる事が不安で堪らなかった
私は彼の腕を掴み歩き公園の近くに点在するカフェへ入った
「俺コーヒー。沙夜子は?」
「ミルクティーにします」
彼はすらりと注文を伝えるが注文を聞いていた店員さんは僅かに頬を染めていた
またモヤモヤが広がる
「……………イルミさんって此方に来てから誰かに告白とかされました?」
「沙夜子はいつも脈略が無いね。」
「………連絡先貰ったりとか……」
「………あるよ」
「………っ!!!」
彼は無表情に答えると窓の外に目線を反らした
………普通に考えれば当たり前だ。これだけ異性を惹き付けるのだから私の知らない誰かから想いを寄せられていても当然だ