第11章 恋の季節にはまだ早い
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あの後私は機転を利かせて
「イルミさんも絶対似合いますよ!」
と彼にも薔薇を着けようとしたが、今まで聞いた事の無い即答で「イヤ」と言われてしまった
私は全く機転を利かせていなかった。
ゆっくりと歩いて帰宅した私達
夕食にはまだ早く、そういえば、とある事を思い出した
「イルミさん!筋肉!筋トレ!見せてくださいよ!」
そう。重要事項である。
生きる芸術作品イルミ様の筋トレを見せてもらう約束をしたのを思い出した
「……良いよ」
「ありがとうございます!」
徐に服を脱ぎ捨てて上半身を露にしたイルミさん
(うおぉぉぉぉぉぉ……………)
てっきりそのまま始めるとばかり思っていた私は思わず狼狽えて無言のまま部屋の隅にさがってしまった
想像を超えてがっしりとした胸板と腹筋
無駄なもの等何も無い引き締まった身体を動かし超人としか言い様の無い筋トレを始めるイルミさん
片手親指だけを支えに逆立ちして腕立て伏せを繰り返すイルミさんは顔色ひとつ変えず汗をかいている様子も無い
見事な裸姿に一瞬狼狽えた私だったが流石にその超人技に度肝を抜かれて拍手を送る
「凄い、イルミさん!私普通の腕立てもちゃんとできひんのに!」
「沙夜子と一緒にされたら困るけどこれくらい普通だよ」
「ゾルディックの皆さんは普通に出来るんですか?」
「うん」
「………ミルキも?」
「………うん」
「まじか」
私は一時間程夢中で眺めていたが途中で名残惜しくも夕飯の準備をした
何時までも身体が熱いのはこの気持ちのせいなのだろうか