第102章 彼と私の防犯講座
暫く思考を巡らせる様に視線を落とした彼だったが私と真っ直ぐ視線を合わせると
「頑張ったらご褒美をあげるけど、どうする?」
くりっと首を傾げた
………ご褒美とは魅惑的でドキドキする響きだがそれは一体何だろうか
「……ご褒美って何ですか…?」
素直に質問した
何だか得体の知れないご褒美に釣られる程私は単純では無い
「うーん」
(…………考えて無かったんかい………)
暫く唸った彼はまた真っ直ぐ視線を交えると
「明日の1日中何でも言う事聞いてあげる」
と言った
………な…………なんでも…………だとッ?!?!?!
なんて夢の様な話だろうか。
想い人の彼にどんな我が儘を言ったって聞き入れて貰える権利を堂々と得る事が出来るなんて………そんなの…………そんなの…………っ!!
「宜しくお願いします!!!!」
私は簡単に釣られて頭迄下げてしまった
私はやはり欲望に素直なタイプだ。
「じゃあスタート」
なんて陽気に手を叩いた彼だが逃げ惑う私を簡単に捕まえて押し倒されたのは彼の布団の上だった
そして私は即座に後悔する
幾らご褒美が魅力的でもこんな状況に置かれて意識しないなんて事が出来る筈が無いのだ
防犯講座なんて言ってはいるが想い人に押し倒されている現状に騒ぐ胸を抑えられる筈が無かった
途端に上昇する体温
普段生活しているスペースで彼が今朝も眠っていた寝具の上でマウントを取られている状況は妙に厭らしく背徳的に感じてしまう
「沙夜子、早く」
なんて彼の呟きにも若干の熱を感じ長髪をかき上げた事ではっきり視界に映った彼の瞳は妖艶な色香を漂わせていた
意識しているのは私だけでは無い………?
また跳ね上がる鼓動
彼は悠々とした所作で私の首筋に手を伸ばすと傷痕を隠す為に巻いていたスカーフをスルスルと解いた
その行動すらも淫靡なものに思えて熱く成る頬