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ここは私の部屋です【HUNTER×HUNTER】

第101章 何でもない日常へ




「クロロさんにはデリカシーが無いんですか!!!そんな事聞かんといてください!!!」

私の顔は間違い無く真っ赤だ
とんでもない発言をしたクロロさんに大声を返していると


「どうしたの?」


直ぐ傍から彼の声が落ちてきて飛び上がる


「いや、えっと…「なんでも無い。それよりまた転びそうになってたぞーしっかり見ててやれよ、彼氏!」


クロロさんは其れだけ言うと彼の肩をぽんと叩き歩き出す
おずおずと見上げれば猫目がちな瞳は真っ直ぐ私を見下ろしていた

彼の表情から感情を読み解く事は難しいが昨夜途中で放り出しておいてこれだけ涼しい表情を浮かべられる事に感心する自分がいる


「行こう」


「はい!」

至って淡白な短い言葉だったが流れる様に手を取られて自然と繋がれた手

指を割って入る様に繋がれた其れは所謂恋人繋ぎというやつで今までのただ手を繋いでいるものとは違っていた

彼に引かれるまま歩き出すが戸惑いから彼を見上げるが彼はやはり何を考えているか解らなかった




ビオスの丘に入場し、最初に観賞船に乗る事になった
三人で乗り合い場にて待機する
まだ昼前だからか客足も少なく静かな空間が広がる
亜熱帯の植物が茂る待機場には鶏が闊歩しており三線が置いてあった
クロロさんは其れを眺めてから何故か私に手渡した


「………」


彼と手を離すのが嫌で躊躇しているとすんなり解放されてしまう手



………三線なんて親しみも無く勿論弾けないが何となく弦を弾くと独特の音が響いた


私は暫く三線を夢中に成って鳴らしていたがはっと気が付き顔を上げるとまるで保護者の様な顔付きで私を眺める二人の姿に気恥ずかしくなり次いで彼に手渡した


彼は私を真似る様に弦を弾くのだが弦楽器を手にした姿にギターを弾いたらさぞや格好いいだろうなぁなんて妄想する

長く綺麗な指が忙しなく動く姿は色香すら漂わせるのでは無いだろうか……なんて考えながらもガン見した

彼の奏でる音は私同様何の曲にも成らず無表情ながら真剣に三線に向き合う姿は何処かあどけなくて可愛い

自然に頬が緩む私に


「なにこれ」


散々音を奏でた後に彼はポツリと呟くので吹き出してしまいそうになった


「三線です!沖縄の楽器ですよ」


「ふーん」


関心があるのか無いのか間延びした返事をすると楽器はクロロさんに返還された
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