第101章 何でもない日常へ
起床から一時間半で全ての行程を済ませた私だが自ら彼等の部屋へ向かうのは気が重くてベッドに腰掛けてぼーっとする
最終日の本日は夕方の飛行機迄観光予定である為に先が思いやられた
先程から漏れるのは溜息ばかりだ
しかもよりにもよって今日の服装は少々胸元の開いた仕様になっており首筋の痛々しい歯形がガッツリ露出していてこれは如何な物かと考える
端から見れば何を思われるだろう………なんて考えながら襟元を上げてみるが
(………あれ、……これ普通のTシャツでもちょっと見えるやん…………うそや…………うわあああああああああああああああああッ!!!!!!)
明日から仕事が始まる。
………いや………………明日の事は明日考える事にして今どうするべきか考える
何か隠せる物は無いかとキャリーバッグを開こうとしたその時ノックの音が部屋に響いた
「……はい!」
………彼が通常通りなら私も通常通り努めるべきだと腹は括った
…………気まずさが消える事は無いが……
開いた扉から覗く彼は一瞬私の首筋へ視線を向けたが直ぐに真っ直ぐに見詰められ
「出れそう?」
単調な言葉を投げ掛けるので私は頷きつつ急いで部屋を出た
長い廊下に出るとクロロさんが準備万端で待っていた
私を追い詰めた変態奇術師の姿は見当たらない
「おはよう………うわぁ………」
「…………おはようございます」
傷痕に気付いた様で苦笑いを浮かべるクロロさんにひきつった笑顔を向けつつも辺りを見渡す
「11時には到着してないといけないんだよね。行くよ」
「はい……」
「おー!」
やはりヒソカさんは見当たら無いが恰かも最初からそうだった様に振る舞う二人に私の口から疑問をぶつける事は出来ずチェックアウトを済ませた
車に揺られて向かうは"ビオスの丘"
水牛を見られると言う所に強く惹かれた私と植物を観察出来る事を強く推したクロロさんの希望で決まった行き先だ