第101章 何でもない日常へ
私の涙腺はどうなってしまったのかまた涙で視界がぼやける中ぎゅっと黒猫を抱き締める
込み上げる罪悪感と彼の行動に対しての困惑は胸を締め付けて苦しい
……楽しい旅行の筈だったのに
明日からどんな顔をして彼と会えば良いのだろう………
そんな不安を払拭したくてプリンを自棄食いして眠った。甘かった。
黒猫は私にぎゅっと抱き締められて苦しそうだったがやはり彼と似ていて1人には広すぎる部屋で私を慰めてくれた
_____________"
遠くでノックの音が聞こえる
「……………?」
瞼を開くと目に朝日が眩しく輝いた
ぼーっと開け放たれたままのバルコニーを眺めているとガチャリと扉が開く音が聞こえて飛び起きた拍子にベッドから落下した
「おはよう」
「~っ……おはようございます」
「朝食の時間だけど」
「あ、すみません、寝坊しました……食べて来てください……」
「解った」
彼は昨夜の事を微塵も感じさせない淡白さを醸し出し至ってノーマルモードだった
困惑すると同時にほっとする
どんな顔をして会えば良いのだろうなんて考えていたが泣き腫らしてパンパンの瞼に物凄い寝癖、頬にシーツの跡を付けた何とも醜くパンチの効いた姿で対面してしまった
早速死にたくなるがチェックアウトの時間に間に合わせる為に淡々と身なりを整えて荷造りをした