第100章 濡れた素肌
時折開いた唇から覗く舌は指を絡めとり暖かく柔らかな感覚に頭は即座に思考を止める
上がる息を短く吐き出し尚も彼を見詰めれば端正な顔立ちの彼は私同様シャワーに濡れてむせ返る様な色香を漂わていた
やっと解放された足が地に着くとまるで頭を垂れる様にかしづいた彼の舌が足首から舐め上げる様に這う
張り付く黒髪を鬱陶しそうにかき上げると焦燥や熱を含んだ瞳に射抜かれ呼吸さえも儘なら無くなった
徐々に上へと近付く舌に翻弄され足元が覚束無い
太腿に舌を這わせながらもしっかりと腰を支える大きな手によって立っている様なものだった
彼は時折眉をしかめて髪をかき上げながらも私の腕を取ると頭上で固定する様に持ち上げた
されるがままの私を眺める彼の瞳に見詰められ破裂してしまいそうに鼓動が早まるのが解った
「鬱陶しいな。」
彼はポツリと呟く
バスルームに来て初めて彼が言葉を発したは良いが言葉の意味が理解出来ずに居ると彼は私の腕を固定したまま徐に着ていたTシャツを破り捨ててしまった
先程迄水を含んだTシャツは彼のシルエットを想像させるかの様に身体に張り付いていたのだが途端に目前に現れる鍛え上げられた肉体は水を滴らせ始める
只でさえ熱に浮かされた身体は視界からの刺激に体温を上げた
また顔を近付ける彼に私の鼓動は届いてしまっているだろう
そう思う程に高ぶっていた
彼は形の良い唇からまた淫靡に舌を出すと脇を舐め上げる
私の身体に走った快感は擽ったさを全く含まない甘いものだった