第100章 濡れた素肌
只でさえ上手く回らない頭が更に混乱し壁に体重を預けたまま本当に自身に起きている事なのか現実味無く彼を眺めていたのだが
途端に立てられた硬い歯の感覚を感じ額に汗が浮いた
「っ……いっ……いたい……イルミさん!!」
ガリっと音が鳴りそうな程強く噛み付かれて悲鳴にも似た声を上げる
必死に成って彼を引き離そうと押し遣るが離れる所か一層強く壁に押し付けられプツンと肌が弾けた
強い痛みに生理的な涙が溢れ只彼を見遣ると自身から流れ出す血液を丁寧に舐め上げる彼と目が合った
不適な色を湛えた瞳は鋭く細められ白い肌に滴り落ちた赤が妙に彼を妖艶にさせていた
捕らえられた様に視線を外せない私は一際大きく心臓を跳ねさせる
綺麗な肌に散った赤すらも彼の舌によって舐め取られ歯形から未だ流れる血液も彼の唇に消える
痛みは麻痺しぞわぞわと沸き上がったのは快楽にも似たもので途端に呼吸は普段を忘れ荒いものに成る
どれだけそうされていたのか私は熱に浮かされた様にただぼんやり光景を眺めており彼に付けられた傷口から血液が流れなく成った頃彼は膝間付き私の足を手に取った
壁に体重を預けていると認識していたのは間違いで彼の逞しい身体に凭れ掛かっていたのだと気付く
一瞬視線を交えると徐に唇に足の指を挟んだ
「……………っ!!!………イ…ルミさん!汚いからやめてください!!」
私の声は虚しく反響し彼は更に深く咥内へ指を含む
艶かしく動く舌は擽ったさや羞恥を飲み込み溢れるのはそぐわぬ快感
強い痛みを越えた快感の要因は想い慕う彼に触れられているからに他ならず涙はもう出なかった