第100章 濡れた素肌
……あんなに……ヒソカさんと二人きりになるなと言われていたのに
私は彼との約束を破り彼を危険に晒したのだ
馬鹿過ぎて情けなくてどうしようも無くて自分が嫌に成った
身に纏った衣装から甦るヒソカさんの香りに更に込み上げる悔しさ
其れを払拭したくて只一心不乱に衣装を取り払い狂った様に泣いた
どれだけそうしていたのか一際強い風と共にバルコニーに影が落ちた
顔を上げると長髪を靡かせた彼は暗闇に浮かび、その姿に目を奪われる
色々な感情が込み上げる中ただ一番に言える事は彼が無事で良かった、だった
「イル「沙夜子」
静かな部屋に響いた声は低く私の声はかき消える
瞬間腕を強く捕まれ短い声を上げる
彼の腕に引かれて力任せに打ち付けられたのはバスルームの壁だった
「っ………!」
暗い室内とは裏腹に目に眩しい灯りの中キュッと音が鳴り頭上から注ぐシャワーに肩を揺らす
私を壁際へ追い遣る様に身体を押し付けた彼は酷く冷たい視線を注いだ
状況に思考が付いて行かず只彼を仰ぎ見る
彼の視線は自身の胸元へ注がれ視線を辿れば嫌悪から衣装を取り払ってしまった事により現状何も纏わず下着姿である事や薄紅色の痕が無数に残っている事に気が付いた
「…………イルミさん………」
途端に込み上げる羞恥と胸の高鳴りには相反して広がる罪悪感
彼は暫く私を眺めると首筋に顔を埋めた
フワリと届く彼の香りは私を高揚させるには十分で
シャワーから注がれるお湯は自身と彼を濡らして床に落ちた
外気に晒されていた肌は彼の体温を敏感に感じ取り柔らかな唇がまるで頸動脈を辿る様に鎖骨へと落ちて行く動きに身体が震える