第11章 恋の季節にはまだ早い
「此処でも昔良く遊びましたよ。弟と一緒に来て1日中居たり…友達とも遊んだし……あ!色んな時季に花もいっぱい咲いて綺麗で…」
彼へ視線を向けて思わず言葉が詰まった
長い脚を組んで頬杖を付く彼は此方に顔を向けて優しく微笑んでいた
「それで?」
微笑みを浮かべたまま話しの続きを促す
「あ、えっと………花が綺麗で?……薔薇の花も……落ちてるの頭に飾って気分はお姫様になってみたり……桜並木も綺麗なんです。人工やけど川もあって、花弁が流れて………また見に来ましょうね!」
私は彼から目を逸らせずに話し続けた
彼は再度ふわりと微笑み"ふーん"と言うと前を向いてしまった
「見てみたいかも」
そう呟いた彼の表情は見えなかったが何処か弾んだ様な声色に身体中が心臓になってしまったのかと錯覚すら覚える
(イルミさんそれ反則ですよ…………)
私は顔に全身の血液が集まっているのでは無いかというくらい熱くなった
ドキドキを通り越して最早動悸だ
「……とりあえず!お弁当にしましょう!」
気分を落ち着けなくては……
彼にお弁当を手渡す