第100章 濡れた素肌
昨夜彼女を寝かしたベッドに近付くが綺麗にベッドメイキングされた其所には彼女が横に成った形跡すら無かった
彼女は何時もの様に無防備に眠っている筈だった
彼女が自身を見てはにかむかも知れないと思っていた
プレゼントに喜び瞳を目一杯細めて笑うかもしれないと期待していた
何故何故何故何故何故何故何故…………
………彼女が居ない………
静かな部屋にカサリと袋が擦れる音が響く中自身を支配したのは彼女を失う恐怖と焦りだった
暗殺者が恐怖する……等とも思考が回らぬまま傍に感じる気配にバルコニーを振り返れば其所には自身にでは無くクロロに抱かれ艶やかな衣装が気崩れた姿で泣き暮れる彼女の姿があった
力を無くした腕から次々に落ちる袋
部屋へ侵入したクロロを一瞬にして殺めてしまいたい衝動に駆られた
「イルミ落ち着け」
………落ち着け…………?落ち着くとは一体何だろう
「イルミ……良く聞け、最初に言っておくが最悪の事態は免れた。ヒソカが彼女を呼び出した目的は解るな?」
気が付くと彼女を自身の腕の中へ奪っていた
決して顔を上げない彼女は只恐怖に身体を震わせ涙を溢す
ベッドへ降ろすと彼女は小さく自身の名を落として開け放たれたバルコニーから吹き込む風の音に混ざる