第100章 濡れた素肌
遡る事34分前
只彼女を待っていた男の耳に彼女は不調により先に部屋へ戻ってしまったとの知らせが届いた
このイベントに毛程も興味が無かった男は屈託無い笑顔を浮かべた彼女を眺める為に付き合いで参加したのだが自身が身を包んだ衣装は早速無意味に感じた
長蛇の列を作る着付け室へ直ぐに引き返し元の洋服へ着替えを済ませる
普段馬鹿の様に元気な分体調不良と聞くと不安が胸を過った
今の自身とは無縁になった現象に対して何をすべきか考えた後
売店にてスポーツ飲料水を購入した
夕食をモリモリ食べていた彼女だが何か食べる物でも、と見て回る
見付けたのはプリンだった
柔らかな口当たりは喉を通りやすいが病人には甘ったる過ぎやしないだろうか……
沢山の人で賑わいを見せるフロアで男は静かに考えた
辺りを見渡すと点在する売店
他の店にはもっと適した物が売っているかもしれない、と三件程見て回ったが元の売店に戻って来てしまった
………無いよりはマシ。もし不要なら自身が食べてしまえば良いと考え購入する事にした
自身の腕に下がったスポーツ飲料水の袋と小さな袋が揺れてぶつかりカサカサと音を経てる
彼女の元へ戻ろう……只漠然と思った