第99章 祭り囃子の最中
俺は走った。念を探るが何処に居るか解らない
………そりゃ絶してるわな……
手当たり次第探し回るが見当たらずホテルを出た可能性を視野に入れる
………だとしたら相当厄介だ
しかしヒソカは彼女単体に興味がある訳では無い筈で絶対的にイルミを刺激する為である事は明らか
気付かせたいのなら敷地内から出ない筈、しかし直ぐに勘付かれるのも不味い………か
俺はもう一度部屋に手掛かりは無いかエレベーターに乗り込んだ
あの変態の事だからヒントなんかを残しているかもしれない……なんて考えながら視線を落とすと踏まれてくしゃくしゃに成った紙切れが目に付いた
レシートか……なんて思ったがぼろぼろの紙切れに奇術師の文字が見えて拾い上げると俺は直ぐに最上階のボタンを押し直した
気配を絶ち屋上へ出ると飛び込んで来たのはヒソカに押し倒された彼女の姿だった
やはり嫌な予感は的中した
「ヒソカ!!何やってるんだ」
「……クロロ……見れば解らない?♣️」
奴がニッコリ笑って顔を上げたのでイラッとする
「今すぐ退け。」
「クックックッ………はいはい。第一歩はとりあえず完了かな♦️」
なんて降参ポーズを取るヒソカ
お前のせいでこの後色々厄介なんだよ!と叫びそうになるが一先ず彼女が優先だ
「沙夜子大丈夫か……?」
俺の顔を見上げた彼女は酷く虚ろな表情を浮かべており痛々しい
「沙夜子ちゃん、宝物は返すよ。楽しい前菜をありがとう♥️」
奴はそう言ってかんざしを彼女に手渡した
成る程………イルミに言えなくても俺に言えば来てやったのに
「おいヒソカ、まだ大丈夫なんだよな」
「そうだね。ちょっとイタズラしただけで最後迄してないよ♥️」
「本当お前って悪趣味だよな」
「酷いや♦️」
「……おい、大丈夫か?しっかりしろ。とりあえず部屋帰るぞ」
彼女はぼんやりしたまま身体を震わせており持ち上げると随分軽く感じた
俺の言葉にゆっくり頷きただ押し殺す様に涙を流す姿に掛ける言葉は直ぐに無くなってしまった