第99章 祭り囃子の最中
とりあえず暇を潰す為に新館の方の売店を見て回る
水着やサンダル迄販売している事に感心しつつ物色していると海の生き物をモチーフにしたトランプが目に入った
トランプから連想してヒソカが脳裏に浮かび思わず眉をひそめる
アイツとは其れなりに付き合いはあるが全く気の置けない奴だな……なんて考えていてふと記憶が甦る
今朝イルミが飲み物を買いに行くと言って部屋を出た際ヒソカはやけに機嫌良く不気味に笑っていた
そして
「今晩面白い事があるよ♥️」
「何言ってんだ?」
なんて会話を交わした
走り去る彼女に覚えた違和感
彼女は普段のほのぼのとした表情では無く顔面蒼白でその目には焦りを湛えていた様に思う
本当に体調不良ならそもそも走って部屋へ戻る必要は無い
違和感とヒソカの言葉が妙に一致した
………イルミには……知らせないのが懸命か
俺は直ぐに部屋へ戻り両室共に無人な事を確認した
プールサイドから鳴る太鼓の音にショー見逃したな……なんて考えながらも嫌な予感は現実味を増す
俺は平和なバカンスを送りたい。只其だけなのに血みどろの肉弾戦に巻き込まれるのは御免だ
二人が殺り合いイルミが勝てば其れで良いがヒソカが生き残った場合手練れと殺り合ってハイになった挙げ句俺に来られるのは非常に面倒である
興味の対象がイルミに向いている事で俺は随分気楽に過ごしているのだが一番の被害者は囮にと目を付けられた沙夜子だ