第99章 祭り囃子の最中
実に悠々と伸ばされた手は逃れ様と身動ぎする私に容易く触れ
長い指は私の唇を確める様になぞる
咄嗟に顔を横に向けるが逃げる事は許されず即座に上を向かされ否応なしに絡んだ視線は近付いた
………キスをするならイルミさんと………いつかと同じ事が頭を過る中、淫靡につき出された舌は水音を響かせて私の唇の形を確める様に舌が這い私は抵抗して固く口を閉じる
私の顔色を確める様に再び上体を起こした彼は実に楽し気に瞳を細めると首筋へ唇を押し付けた
厭らしく動く水気を帯びた其れが舌であると解ったと同時に肌はゾワリと粟立ち言い知れぬ恐怖を感じる
ちゅっちゅっとリップ音を鳴らして着々と胸の谷に近付く感覚は艶かしくブラを辿り時折チクリと痛みを走らせた
「……っ……やめて………」
感情とは裏腹に熱が籠る身体が恨めしい
必死に息を噛み殺して短く言葉を吐くが耳を貸してもらえず一層水音を経てて胸の谷間に吸い付かれてしまった
立てられた歯は痕を残す事は無いが柔らかな肌を噛み緩い痛みを残す
「……お…ねがい…」
「ダメ♥️」
彼は妖艶な笑みを湛え上体を起こすと長い指で肌を辿り衣装の裾を捲り上げると太腿を円をかく様に撫でた
擽ったい様な感覚はじわじわと快感へと色を変えて身体には更に熱が籠って行く
遠くホテルのお祭り会場から反響する太鼓の音は楽しみにしていた出し物のもので私はイルミさんの姿を思い浮かべた
次々溢れ出す涙をそのままにただ歯を食い縛る
太腿を撫でていた手は撫で上げる様に胸元へ戻り
肌を確める様に辿られる感覚は私を責め立てる様に快感を生む
彼の唇は啄む様に腹へ下がるとクチュクチュと辺りに水音を響かせてヘソを舌で舐め上げられる