第99章 祭り囃子の最中
本格的な琉球衣装を着付けてくれるとあり、やはり参加者は多く男女別れた着付けの列は長いものだったが彼の琉装姿がお目にかかれるとなるとただ楽しみでソワソワと身体を揺らして待った
暫くして漸く自身の番に成り五色の中から迷わず青を基調にした物を選び着付けて貰った
一応夕飯前部屋に戻りメイク直しをしたが似合っているだろうか……なんて鏡の前の自身を見詰めてみる
(…………ちょっとでも可愛いって思ってもらいたいなぁ………)
なんて思いながら大切に持って来たかんざしの箱を開いた
彼にプレゼントしてもらった大事なかんざし
その色に合う琉装があって本当に良かったと思う
でなければ壊れるかもしれないなんて不安を抱えながら遥々持ってきた意味が無い
彼はかんざしに気付いてくれるだろうか
………………なんて浮かれた気持ちは一瞬にして崩れてしまった
【宝物は預かったよ。新館の屋上で待ってる 奇術師より♥️】
空っぽの箱に入っていた小さな紙に書かれた文字を真っ白に成った頭を懸命に動かしてやっと理解した時には私は堪らず更衣室を飛び出していた
「おー。沙夜子似合って「クロロさん!私ちょっと気分悪くなってしまって部屋で休みます!イルミさんにも伝えといてください!」
更衣室を出ると丁度鉢合わせたクロロさんに伝言を頼み私はとにかく走った
咄嗟に嘘をついてしまったのは何と無く知られてはいけない気がしたからだった