第11章 恋の季節にはまだ早い
遅ばせながら私も平らげ店を後にする
「どうでした?こぢんまりしてて良い店でしょ!ココアもミルクセーキも美味しいんですよ」
「ミルクセーキ?」
「あまーいミルク…?何かそんな雰囲気の飲み物で、お昼はカレーピラフ美味しいです!」
「へぇ」
「お口に合いました?」
「うん。なかなか良かったよ。コーヒーも美味しかった」
「そうなんですよ!私飲まんからわからんけどコーヒー豆にも拘ってるみたいです」
「ふーん」
「イルミさん、いきなりですけど此方に来てから不満とかあります?」
「本当にいきなりだね」
快晴の冬空は風こそ冷たいものの射す陽は暖かく心地好い
隣で歩くイルミさん
「別に無いかな」
と呟いた
「……強いて言えば!」
「……身体が鈍らないか心配、かな」
「な、成る程」
私には改善してあげられそうに無い不満だ
自宅でイルミさんはしょっちゅう針をお手入れしたりストレッチをしたりしているが
其だけでは物足りないと感じるのは事実だろう
「筋トレも通常の10分の1しか出来てないし」
「…?いつ筋トレ何かしてるんですか?私見たこと無い」
「沙夜子が起きる前かお風呂に入ってる時」
「そっか、それは見たこと無い訳ですね。今日見せてくださいよ!」
「どうして」
「見たいからです!」
(イルミさんの筋肉!カッコいいに違い無い!!!!!)
「別に良いけどおもしろく無いよ」
「ありがとうございますッ!!」
「………」
私の緩い考えが理解出来ない様子で目線を外し前を向いてしまった
風に揺れる黒い長髪は太陽の光を反射して輝き、流れる