第98章 潮だまりとTシャツ
……………私がお三方の脚をこの手に感涙している可能性だって拭え無ければ
クロロさんの額のタトゥーをじっくり見詰めたりヒソカさんの腕で逆上がりなんて事を仕出かして気持ち悪く笑い声を上げている可能性だって大いに有り得る
冷静に考え無くともあんなイケメンマッチョ達に囲まれていて私が何もしない筈は無いのでは………?
絶望
私の脳に浮かんだのはその二文字だった
「……………どうしよう。私……ヤバい…………」
しかし、何時までも床に倒れていたって時間は過ぎるばかり
些か床の冷気で身体がひんやりした私は身体を起こすと淡々と身支度を整えた
鏡に映し出された自身の姿はまさに虚無であった
どれだけぼーっとしていたのか
私は現実が恐ろしくて脳を停止させていたらしくただ遠く綺麗な海を実に穏やかな気持ちで眺めていたのだがノックの音で現実に戻る
……行くしかない……
何かあれば切腹しよう………
私は恐怖に震える心臓を抑えて部屋を出た
そして即座に頭を下げた
「ご迷惑おかけしてすみませんでしたッ!!!!」
静かな廊下に響く私の声は自衛隊員も真っ青な程大きかった