第97章 溜息
「南の島がモチーフなのに振ると雪が降るなんて変だと思わない?」
「確かにそうですね」
彼が持っていた綺麗なビーチを模したスノードームにはヤシの木なんてのもあって当に南の島だが振ると雪の様に白い粒がドームの中を舞う
何処の南の島にしても沖縄を模しているにしても雪は降らない地に雪を降らせるスノードームは奇妙なものだ
何を思って作られたのか意図は解らないが観光地あるあるな代物だろう
なんて思いながら眺めていると彼は其れを持ってレジへ行ってしまった
彼が何処を気に入ったのか……本当に謎だ……
(え………まさかうちの家族へのお土産……?……いらんなぁ……)
大通りを歩く彼は大きな袋と小さな袋を下げていた
「お土産揃いました?」
「うん」
「スノードーム……もお土産ですか……?」
「これは俺の」
「あー……そうなんですか」
何故………とは思ったが彼はミステリアスな人なので考えた所ではかり知る事は出来ないだろう。なんて考えていたら
「ヘンテコで沙夜子みたいでしょ」
「え!何ですかその理由……」
彼の言葉に目を真ん丸にしてしまった
そんな理由であのスノードームを買ったとは………嬉しい気持ちより複雑さが先行してしまう
私は彼にとって南の島に雪を降らせる程ヘンテコな存在なのだろうか……だとしたら相当に複雑だ
「……沙夜子は何処にでも雪を降らせるんだよ」
なんて呟きを落とした彼の言葉は何処かぼんやりしていて
私は何も言う事が出来なかった
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ホテルにて私は決意通り三人の部屋を襲撃した
とは言っても普通にノックして入れて貰ったのだが
やはり私の宿泊する部屋より広々としていて既に各々のベッドが解る程荷物が散乱していた
既に全員入浴を済ませておりガウン姿の美形達にどぎまぎした私だが思いの外ウェルカムな三人に迎え入れられ窓際のテーブルにて酒を煽っている