第97章 溜息
水族館の出口に差し掛かるとクロロさんとヒソカさんはソファーにて私達を待ってくれていた
自然と離れた大きな手を名残惜しく思いながらも合流する
そして、私達は全く知らなかったがイルカショーを巧みに操ったらしいヒソカさんの騒ぎに巻き込まれて大変だったとクロロさんは溜息を付いた
「だって暇だったんだもん♣️」
「だもんっじゃない!!巻き込まれる俺の身にもなれ!」
「あはは……」
相当大変だったらしい……クロロさんは苦労人だなぁ……なんて口が裂けても言えないが……
車に揺られて向かうはまたもや二泊予定の大型ホテル
先に宿泊した施設程では無いが中々にエレガントなホテルで施設内にプールも付いたリゾートホテルは大きな二棟から成り、私達が宿泊するのは新館だ
そして、昨夜迄は四人部屋で就寝の際も隣に彼が居たので夜も安心して熟睡していたのだが今夜からは私が一人部屋となり彼等は三人という部屋割りになっていて心霊関係が苦手な私はかなり夜中のトイレが不安だが……そこは独り暮らしの意地の見せ所というやつだ
………乗り越えてみせよう。多分
私は気が付く頃には重たい瞼をそのままに眠りに落ちていた
肌触りの良い白い砂浜に寝転がり彼と二人真っ青な空を仰ぐ夢から揺り起こされて強制的に目覚める
「………?」
暫くぼーっとしていたが焦点の合った視界で捉えたのは覗き込む3つの顔だった
「っ…………おはようございます…」
「おはよう」
「良く眠ってたな!疲れたか?」
「可愛い寝顔だったよ♥️」
「………っ……!!!」
私はどうやら深く眠り込んでいたらしくなかなか起きなかったのかニヤニヤと笑う二人の顔と真っ黒な瞳に見詰められて変な汗をかいた
すっかり駐車場に停車している車から一足遅れて降りて手早くチェックインを済ませる
15階建ての10階とは中々に綺麗な眺めが拝めそうだ
各々ルームキーを受け取り部屋へ向かう
エレベーターで一緒になった女子高生らしい女の子達は琉衣を可憐に纏っており、明日参加するホテルのイベントに胸が高鳴った