第96章 水族館と手の温もり
目的地美ら海水族館、此所を予定に組み入れたのはクロロさんでは無く私だ
クロロさんは独断興味無さそうに欠伸を漏らした後に単独行動とばかりに「じゃあ後でな!」と言い残して行ってしまった
ヒソカさんもヒソカさんでニッコリ笑うと手を握り去って行った
(………皆で旅行来てるのに別行動やねんなぁ……)
未だ自由行動に慣れず不思議な気分だが隣に佇む彼を見遣ると彼の真っ直ぐな瞳と目が合い、さも当然の様に手を差し出されてドキリと胸が跳ねる
無言ながら手を繋ごうと合図された事が嬉しいやら恥ずかしいやらで徐々に熱くなる体温を誤魔化す様に堂々と手を取って歩き出した
端から見たなら不釣り合いではあるがカップルに見えるだろうか……なんて考えたのは秘密だが
沢山の人が行き交う観光地で彼を独り占めしているような幸福感は自然と頬を緩ませた
緩やかな坂道を下ると見えてきたのは大きなジンベエザメのモニュメント
大勢の観光客に混ざって順路を行き入口を入ると海の生物に触れられる水槽に沢山の子供達が集まっていた
「沙夜子も触る?」
直ぐ隣から降ってきた言葉に素直に頷く
流石イルミさん、このての物に私が食い付く事を理解してくれている