第95章 アダルトリオと私とベッド
BBQを終えた私達は暫く海で遊んだ
………と言うべきか……
私の持参した浮き輪を一息で膨らました彼にぎょっとしてしまった
私は浮き輪で浮きながらキラキラ輝く水面を眺めるだけで楽しく
一人優雅に波に揺られて高い空を仰いでいたのだが
全くの気配無く水中からぬっと現れた彼は濡れた長髪をべったり引っ付けたホラーテイストで私は驚きの余り浮き輪から転落した
私は必死になって浮き輪にしがみつき咳き込む
突然の出来事に豪快に塩水を飲んだ私は原因になった彼を見遣り今だホラーテイストのまま微動だにせず直立で浮いている事に僅かな苛立ちと疑問を感じた
「っ………イルミさん!怖い!!髪の毛ちゃんとして!!」
「…………」
「え……聞こえてない……?」
転落した際に感じたのは私は随分深い場所に居るという事で
彼の身長も悠に越えている筈なのにまるで立っている様に佇む彼は不自然で根元的な恐怖心を煽る
私は返事をしない彼に怖い!と叫びながら遊ぶ気満々で首に掛けていたゴーグルを着用して水中を覗いた
クリアブルーの美しい世界の中、関節の柔らかさが異様な程ぐにゃぐにゃと動く彼の足を見て私は肺に溜めていた酸素を一気に吐き出してしまった
全身に鳥肌が立ち背筋がぞっとして身震いを感じる
水中から顔を出すと今だ佇む様に其所に居る彼だが髪はしっかり整えられていた
「イ……イルミさん………す、凄ーい……………」
私の声は僅かに震えたが
何故か得意気にニヤリと笑った彼に浮き輪の紐を凄いスピードで引かれ途端に滑走する浮き輪
未だ直立で前進する彼の背中から水中での足の動きを想像した
…………想像だけでぞっとする………
シュノーケリングを楽しんでいる方々がショック死しやしないだろうか………なんて考えながら
私は只遠く空を眺めていた
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その後ホテルに戻った私達は各々まったりと過ごしている