第94章 海を渡る橋
「笑ってないで良いから乗りなよ」
彼は慣れた様に私を嗜めた
そんな様子に
「沙夜子っていつもああなのか?」
「うん。ちょっと頭がね」
「面白い子だね♥️」
なんて会話を交わすアダルトリオ
貴方達に頭がどうのとは言われたくない………と思ったが、大人しくバナナボートへ跨がった
ボートはスピードを上げて海を滑走する
飛んで来る水飛沫は顔や身体に弾けて目を開けていられない程激しく何が何だか解らない
しかし、スピードに乗って海風を受けるのは楽しくあっという間に終わってしまった
「よーし、BBQするぞー!」
「お腹空きましたねー!!」
「ペコペコ♥️」
「…………」
私達は予約していたテーブルにてBBQをした、と言ってもクロロさんは只出来上がりを待ち
ヒソカさんは肉を焼いてくれはするが野菜を一切食べない偏食家っぷりを発揮した
彼も私と一緒に野菜を焼いてくれていた
正確にはトング裁きが早すぎて私はただ網を眺めていただけだが……
メインだとばかりに注文した大きなステーキを焼き上げるヒソカさん…………あんな布面積で油の飛び跳ねは平気だろうか……なんて思うが屈強な彼の事だから平気なのだろう……
(皮膚ってどうやって鍛えるんやろ……屈強でも関係無くない……?)
とは思ったが突っ込まないでおこう………
何故かステーキの切り分けはイルミさんが担当し、実に均等な配分は真面目な彼らしい
しかし私には多すぎる量にこっそり彼へお裾分けした所
「しっかり食べないと立派な暗殺者に……」
「…………暗殺者にはならないので……」
「あー……うん」
てきぱき動いているなぁと思っていたらどうやらお兄ちゃんスイッチが入っていた様だ
私に誤爆した彼は何処か恥ずかしそうに紙皿を差し出しステーキを受け入れるとその後暫く沈黙していた
私はというと
(先生にお母さんって言うやつと一緒やぁっ!!!!可愛いー可愛いよイルミんっ!!!!)
脳内でかなり荒ぶっていた
沢山の観光客の楽し気な声を聞きながら頬張ったステーキはなんともジューシーで私は満面の笑みを浮かべたのだった