第94章 海を渡る橋
暫くぼーっと外を眺めていると綺麗な海岸通に出た
古宇利島はもう目前だ
雲は相変わらず多いが曇らず晴れを保ってくれていてぼんやり、呪い?なんて考えてしまって一人苦笑いを浮かべる
「もう直だよ」
彼の台詞の直ぐ後に見えて来た古宇利大橋
彼は車を減速させてゆっくりと橋を渡り始める
橋で渡れる離島、古宇利島へ伸びる橋はまるで海を走り抜けている様な錯覚に陥る
車内の全員から歓声が漏れたので笑ってしまった
車の窓を開け放すと鮮明に映るエメラルドグリーンの海がキラキラ輝き胸が高鳴った
本当に美しい海をゆっくりと眺めた後に車は島内を行く
島内は沖縄風の古民家が佇む集落があったり背丈の高いサトウキビ畑が広がりのどかな雰囲気が漂っていて何処を見てもうっとりしてしまう
すると、海辺に佇む小さなカフェに車はゆっくり停車した
「?」
「ちょっと寄ってかない?」
「賛成だ」
「ボクは別にどちらでも♥️」
「寄りましょう!」
急遽予定を変更してカフェに入る
心地好い海風をそのままに開け放たれたバルコニーからは涼しい風が吹く
クリアブルーの海を望めるカフェで飲んだミルクティーの味は格別で穏やかな一時を過ごし、私達は島を後にした
実のところ古宇利島には古くから「恋の島」なんて言う別名があり沖縄版アダムとイブのような言い伝えが残っているそうで……私はひっそりと隣の彼との在って無い様な未来を想った
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……………私は今生命の危機に瀕している………