第94章 海を渡る橋
9月15日
翌朝アラームの音で目を覚ます
まだ早朝5時だがしっかりメイクと髪を整えた後に朝食を食べに行くには逆算した結果これくらいの時間には起きていないと間に合わないと思う
重たい瞼を無理矢理に抉じ開けて上体を起こせば背中を向けて眠る彼の綺麗な黒髪が白いシーツに広がり何とも言えない艶を感じて暫く見惚れてしまっていた
昨夜一人では大きすぎるジャグジーにゆっくり浸かった後に私は大きなベッドにダイブした
フカフカのマットは私をしっかり受け止め肌触りの良いシーツに頬擦りした私は幸せな笑みを溢して思わず枕を抱えて転がる
(このベッド家に欲しい………リビング潰れるけど………)
彼は既にベッドに入って居たのだが明日の目的地を検索し地図を暗記していた様で呆れた声で
「早く眠らないと身体もたないよ」
なんて言われてしまった
クロロさんとヒソカさんの家にお邪魔した際に同じベッドで眠った事を思い出す
私はあの時彼に抱き付いて眠ってしまっていて目覚めた時には大いに焦った
私は同じ過ちを犯さぬ様に出来る限りベッドの端に身体を横たえる
「電気……消しますね………?」
「うん」
ベッドサイドのライトだけが部屋を照らす中そっと瞼を閉じる
「おやすみなさい」
「ん、おやすみ」
水は相当体力を奪う様で
心地好い疲労感に直ぐふわふわと浮遊感が襲う中、不意にクロロさんの言葉が頭を過って途端にドキリと心臓が跳ねた
(………嫌やわ……何考えてるんやろ……)
その後途切れ途切れ短い夢を繰り返してはクロロさんの言葉が蘇り目覚めてしまい、ぐっすり眠りに落ちた頃にアラームにて強制的に起床となった