第93章 揺れる水面
即座にプールに視線を落とした私だが鼓動は周りに聞こえていそうな程騒いで落ち着かずただ足を揺らして水面を眺め、平常心と言い聞かせる
「あ、なぁ、今から皆で泳がないか?」
「え?」
そんな時に背後から聞こえたのはクロロさんの楽しそうな声だった
明日海で遊ぶ予定だが今から泳いで水着は乾くだろうか………
しかし夜のプールで遊ぶなんて魅惑的で楽し気な響きだ
先程迄の鼓動は色を変えてワクワクと弾み始める
「良いですね!」
「くだらない」
隣のイルミさんと言葉がかぶり思わず振り返ると彼はしまったとばかりに視線を游がせた
「ボクは良いよ。どうするイルミ?♥️」
「…………沙夜子が泳ぎたいなら俺は付き合うけど」
「!」
「クックックッ……♥️」
「何。ヒソカ気持ち悪いんだけど」
「やったー!!!私コンシェルジュの人に水着乾燥出来るか聞いてきますね!」
私はプールを飛び出した
フロントに問い合わせた所、可能との事で追加のワインもちゃっかり注文して直ぐに着替える為にトイレに籠る
彼はベッドの部屋にて着替えをしているのだがもう出て大丈夫だろうか……なんて考えつつ
水着姿を洗面所の大きな鏡で最終確認する
黒のタンキニビキニは私に足りないセクシーさを演出する様にレースが揺れ、しっかりと胸を守るパットは実物より幾分か胸を大きく見せて綺麗な谷間が出来ていた
(おしり………変ちゃうかな………)
くるりと周り確認しようとするが上手く見えず一人格闘しているとノックが鳴り響く
「はい!」
「遅いけど……大丈夫?」
「はい!大丈夫です!出ます!」
慌てて扉を開くと視界に飛び込む彫刻の様な胸板に急ブレーキをかける
「…………」
「…………」
「……沙夜子」
「は、はい!!」
視線を床に落としていた私だが名前を呼ばれて仰ぎ見ると彼の真っ直ぐな瞳と目が合った