第92章 閉じ込めた青
彼が迷う事無く私の元へ戻って来てくれた事が嬉しくて口に含んだソフトクリームの甘味が胸にじんわり広がる
「イルミさんは何味ですか?」
「サトウキビ」
「おー!沖縄ですねー」
「甘い」
「私のも甘いです!」
彼は余り自身の事を話さない
なので彼の日頃の仕事内容すらはっきりと知らない
私が話を振らなければ先程の事も話さないだろう……
彼が声を掛けられ何を思い何を話したのか
……気にならない訳が無かった………
モヤモヤと広がる感情は不安や嫉妬から来る独占欲
私は彼の事を言えないくらい些細な事で嫉妬してしまう幼稚な奴の様だ
なんて考えたが
「空が綺麗だし晴れて良かったね」
穏やかな彼の言葉に敢えて先程の事は口に出す事は無く、代わりに笑みを返した
「てる沙夜子坊主のお陰ですかね!」
「きっとそうだよ。」
彼の得意気な声を聞きながら私はただ青い空を仰ぎ見た