第92章 閉じ込めた青
おきなわワールドから約30分程で到着した其所はクロロさんのリクエストであり、イルミさんも興味を示していた場所だけあり二人の瞳が輝いた
石段を登り見下げた街は青い海に囲まれており思わず声を上げる
青と言ってもターコイズブルーに輝く海はとても綺麗で思わず彼の腕を引っ張って足を止めてしまった
「見てください!綺麗!」
「本当だ。此処からも海が見えるんだね」
「ですね!一足先に見ちゃいましたね!」
「うん」
連泊する宿は中々に高額で私一人なら絶対に選ばないレベルだがクロロさんの希望で奮発した
バルコニーからそのままプライベートビーチへ出られる様になっているらしく海はたっぷり楽しめるだろうがその前に彼と二人で眺める事が出来て胸が弾んだ
辺りを見渡すと自由行動とばかりに消えた二人の姿
「行こうか」
優しい彼の声に私は満面の笑みを返した
中国と日本の築城文化を融合した独特の建築技術、石組み技術で唯一無二の建築物と成った首里城は世界遺産として登録されている
鮮やかな朱色に彩られた城は本当に異国感漂う風貌である
"世界遺産"の言葉に弱い彼は大きな瞳をクリクリさせながら静かに見学していて実に可愛らしくほっこりしていたのだが
……人混みでは絶対手を繋ぐ……
宣言通り突然長い指を絡めて私の手を包み込むものだから私は思わず赤面してしまい、緊張から観光所では無かった
全て見学し終わり彼と手を繋いだまま公園内に出る
遠くでソフトクリームを食べている二人を発見した
そしてその二人に集まる熱視線………
彼は自然な流れであの二人の元へ合流しようとしたのだが彼まで揃ってしまえば事態はきっと悪化するばかり
今にも逆ナンされそうな二人の元に彼を送り込むのは得策では無いと判断した
何より彼が声を掛けられる場面を想像すると胸がモヤモヤして嫌だった
「あの………私達はあっちでアイスクリーム食べませんか?」
私が咄嗟に指差したのは大きな木の木陰にひっそり佇むベンチだった