第92章 閉じ込めた青
まるで夏に逆戻りした様に濃い青に真っ白な入道雲が流れて空が広い
ワクワクと高鳴る胸に窓を下げると高い気温とは裏腹に全く湿気を感じさせない空気は嫌な暑さが無くさらりとした夏の香りが胸一に杯広がった
「晴れましたねー!」
「あぁ、本当に。以前から来て見たかったんだ!」
「クロロさんは旅行好きなんですか?」
後部座席から楽し気に弾んだクロロさんの声に思わず笑顔になる
「旅行が好きと言うよりは一ヶ所にじっとしてるのが苦手でな。あと、南の島ってのに憧れがあったんだ!」
「憧れですかー。私も憧れました!」
幼い頃に祖父が連れて来てくれた沖縄は正に別世界で本当に私にとっては夢の国の様だった
其れから何度も訪れたこの地に大好きな彼と奇妙な知り合いと訪れている事が不思議だ
「そう言えば………何で四人で来る事になったんでしたっけ……?」
「ボクが免許証を交付した交換条件だけど♥️」
「………何で交換条件にこれを選んだんですか?」
「彼が旅行に行こうって煩かったんだけどボク興味無いしボクも楽しめる様に君達に同行してもらいたかったの♥️」
「………成る程」
何が楽しめるのかは解らないが大方私をからかって暇潰しする気だろうと納得していると
普段通りスマートな運転をしてくれている彼が
「沙夜子、時間的に高速使う?」
と此方を見遣りながら訪ねてきたので鞄を探って予定表を眺める
「んーそうですね。はい、高速で行きましょう!」
「了解」
彼は私の言葉にハンドルを切り車は高速をぐんぐん進む