第91章 出発の朝
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空港内で朝食を済ませて私達は機内へ乗り込んだ
本来私はクロロさんの隣の席と成っていたのだが紳士的な配慮で私の隣を彼に譲ってくれた結果
私とイルミさんが隣同士のシートになり
一列後ろがクロロさんとヒソカさんの席となった
暫くして無事離陸した飛行機はぐんぐん高度を上げて街はミニチュアパノラマの様だ
機内で過ごす二時間半
隣がまだまだ慣れないクロロさんと気心知れた彼とでは気分が全く違う
更に単純な恋心も相まって隣に彼が居る喜びを感じ心底クロロさんに感謝した
そう言えば此方の飛行機は三人共初体験だろう………平気だろうか……
確か彼等の世界には飛行機は無く空の移動手段は飛行船だった筈だ
何故か窓際の席を譲り通路側へ腰掛けた彼を見遣る
彼はキョロキョロする事もなくじっと座っていた
「イルミさん………飛行機、どうですか」
「どうもしないけど」
「元の世界には無かったでしょ?」
「うん。でも図鑑で得た知識があるから」
「成る程です!」
無表情ながら何だか可愛らしい言葉に思えて笑ってしまう
すっかり青と雲海を一望する事の出来る窓を横目に私はいつの間にか彼にもたれ掛かり眠っていた
本当に綺麗な青い海の夢を見ながら……