第91章 出発の朝
「まったく……何処ほっつき歩いてたんだ」
「瑞穂ちゃんと過ごしてたんだ♥️」
「誰だか知ら「えっ………!!!!」
ぼんやり傍観していた私の耳に飛び込んで来た名前は私の母の名前だった
途端に変な汗が吹き出しクロロさんの言葉を遮って声を漏らす
「あの………それって………母ですか………」
「そうだよって言ったら?♦️」
「っ………!!」
ヒソカさんは悠長な所作で視線を合わせる様に屈むとニヤリと口元を歪ませて
「冗談だよ♥️」
と言った
「っ……からかわんといてください!!」
「ごめんごめん、怒らないでよ♥️」
母と父は私の友人の間でも有名なおしどり夫婦なのだ
しかもお互いにぞっこんで……そんな間違いがある筈が無い事は冷静に考えれば解る話しなのだ
何より昨日親方を預けに実家にも訪ねていた
クツクツと喉を鳴らして笑うヒソカさんの声を聞きながら床を見詰める
人間そう瞬間的に頭が回る物では無くまんまとヒソカさんに振り回された自身に無性に苛立ってしまう
…………しかしこれから5日間も一緒に行動するのだ
雰囲気を壊したくは無い……
気分を変えようとイルミさんを見上げると彼は眉をしかめて不愉快そうに立っていた
………イルミさんも私と同じでは無いにしてもヒソカさんの言動を不愉快に感じたのだろうか
其れだけで何だかイルミさんには悪いが救われた気がした