第10章 動物園へ行きましょう
………それはさておき、無数のコウモリが飛び交い、天井にぶら下がっている姿も非常にキュートだ
「かっわ!めちゃかわ!見て、あの子絶対眠いで」
「本当だね」
「可愛い~」
「沙夜子の目には何でも可愛く見えるんだね。俺の事も可愛いとか言ってたし」
「コウモリは可愛い……やん…………!?私いつイルミさん可愛いとか言いました?声に出てました?!」
思いもよらない言葉に心拍数が上がる
私のお馬鹿な脳はフル回転するが、全く持って記憶が無かった
「……そう言っちゃうあたり、本当に思ってたって事だよね。沙夜子が酔っ払ってた時に言ってたよ。俺が芸術作品だとか訳の解らない事も言ってたっけ」
(うわぁ~ボキャブラリーの種類だけで私が言うたんは間違い無いってわかる~っ……つら~………)
「………そんな事言いましたか……中々にやりおるわ自分。パンチ効いてるわ………すみません……でも、ほんまに思ってるから言うたんであって、何でもかんでも可愛いって言う訳じゃないですよ」
「そうなの?」
「そうですよ!私が家で炊飯器見ながら可愛い~とか言うてるの見たことあります?いややわぁうちの便座めちゃかわ~とか言うてました!?無いでしょ?!」
「そうだね」
「でしょ!可愛い生き物とかに可愛いって言うのは私の普通なんですよ」
「俺が可愛いに入ってる基準が良く解らないんだけど」
「それは………」
(何て言うたら良いんやろ………律儀な所とか、首傾げる仕草とか……っ全部言いにくい……っ)
「それは……あれですよ!そう、あれです……あの……フィーリングですよ。感じましょう。察しましょうここは、ね?察してみましょうフィーリング」
「……………話し逸らすの下手くそだね」
「はい……………………首傾げる仕草とかめちゃかわですよ」
「ふーん」
(聞いといてそれかーーいっ!!言うて損した気分やわ!興味無いなら聞くなっ!!気まぐれさんめっ!!そんな所も可愛いです!!恥ずかしいわ!!)
一人心の中でツッコミを入れながら照れ臭さを隠した