第10章 動物園へ行きましょう
「イルミさん帰るんでしょ……私寂しいじゃないですか。イルミさんとの思い出残したいです」
本音だ。
楽しい時は楽しい、悲しい時は悲しいと正直に言ってしまう事に何のマイナスがあるだろう
今までの人生でも私は伝えるようにしてきた
他の感情に邪魔されなければだが
「良いよ」
ふぅっと溜め息を付いた後に承諾してくれた
敢えて可愛く加工される様なアプリを使わなかったのはお目目クリクリのイルミさんが怖い事になりそうだったからだ
従って自分は残念な出来だがイルミさんさえしっかり写っていれば良しとしよう
その後も可愛い動物と共にイルミさんの単体ショットを撮りまくり、最初こそ不慣れな雰囲気だったがその内無表情ピースを頂けるくらいになった
「沙夜子も撮ってあげるよ」
と、私の携帯を器用に操り写メを撮ってくれるイルミさん
………私単体の時は盛れるアプリだった事は秘密にしておこう
いつの間にか離れてしまった右手を名残惜しく思い独り握りしめつつも動物園を堪能して行く
イルミさんはまだ字が解らない為、一匹ずつ看板の説明を読み、特に好きな肉食獣コーナーではドヤ顔で自分の知る豆知識何かを披露したりした
その度に「ふーん」とか「へー」と無表情ながら感心する彼を愛しく思ったり………
「まだあるんや!私このコーナー大好きやったんです!!」
「なにここ」
「夜行性の動物がおるんです」
夜行性の動物が展示されているだけあり其所は暗く洞窟を模した様な雰囲気になっている
中へ入ると直ぐにコウモリが見えた
私はコウモリも好きだ。本当にどうでも良い話しだが寧ろ嫌いな動物は虫とアルマジロくらいだ。
アルマジロには悪いが丸まった形状が虫に似ていて苦手なのだ